表1に示した各税について少し詳しくみてみましょう。
消費税率の引き上げに伴って自動車取得税が廃止されるのと入れ替えで、「自動車税環境性能割」が2019年10月から導入されました。税額は自動車の燃費性能などに応じて定められ、自動車取得価額の0~3%となっています。税の性質に着目すると、流通段階に課税される「流通税」に分類されています(参考:
税務大学校資料)。また、都道府県が管轄する道府県税であり、2021年度の税収は約941億円(税収全体の0.5%)となっています
[1]。
自動車の保有段階の税として、「自動車税種別割」があります。4月1日現在の自動車の所有者に対して課税されます。税額は、エンジン排気量が大きいほど大きくなるように設定されています。電気自動車については、最もエンジン排気量が小さいカテゴリの税額と同額に定められています。税の性質に着目すると、財産を保有しているという事実に対して課税される「財産税」に分類されます。自動車税環境性能割と同様、道府県税であり、2021年度の税収は約1.5兆円です。税収全体の約7.6%と小さくないシェアを占めています。
保有段階の税としては、新車登録時や車検時に課税される「自動車重量税」もあります。税額は、車両総重量が大きいほど大きくなるように設定されています。こちらも財産税に分類されますが、重さが基準になっていることから、道路損傷負担金的な性格をもっているといえるでしょう。自動車重量税は国税であり、2021年度の税収は約6,706億円と国税の税収全体の約0.9%を占めています
[2]。
ガソリンエンジンの自動車の場合には、ガソリンの消費に対して、「揮発油税」「地方揮発油税」が課されます。税額はガソリン1リットル当たり53.8円です。税の性質上は、「消費税(消費段階の税という意味です)」に分類されます。国が管轄する国税であり、2021年度の税収は約2.3兆円、シェアにすると約3.2%に上ります。
ディーゼル車の場合には、軽油の消費に対して、1リットルあたり32.1円の「軽油引取税」が課されます。こちらも「消費税」に分類されますが、管轄は都道府県になります。2021年度の税収は約9,265億円であり、税収の約4.7%のシェアになります。
自動車交通がもたらす環境問題に対応するために、ガソリンや軽油の消費量を減らしていくと、税収面にも少なくない影響があることがみて取れます。走行距離に応じた税については次回以降に考えたいと思います。